WEBシステム開発のノーザンシステムサービス @ 岩手県盛岡市

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AIによるCS立体図からの路網抽出技術の開発

AIによるCS立体図からの路網抽出技術の開発


農林水産省 農林水産分野における気候変動対応のための研究開発

 ノーザンシステムサービスでは、AIによるCS立体図からの路網抽出技術の開発を行いました。従来、林道は地形図で網羅しきれておらず、正確な地図の作成には膨大な人手と時間がかかっていました。そこで弊社では、Deep Learningを活用して、AIが地形データから過去の崩壊跡地や崩れやすい斜面を抽出し、林道の路網を抽出するシステムを開発しました。

 この技術は林業インフラ情報の共有体制の構築・災害時に迂回路として機能する林道の研究などに役立てていただいております。また、最近では大手測量会社から “測定”のご依頼を多数いただいております。

背景

近年、集中豪雨の増加により、全国各地で斜面が崩壊する事例が相次いでいます。災害リスクの事前予測や、災害後の迅速な対応を実現するため、システム開発が行われてきました。内閣府の支援を受け、農林水産省や県の森林関係機関、大学、航空軽量を手掛ける企業などのほか、当社、株式会社ノーザンシステムサービスといったシステム開発会社がプロジェクトに参加しました。

令和2年7月豪雨による水害:国土地理院ウェブサイト

豪雨水害

令和2年7月豪雨による土砂災害

土砂災害

プロジェクトでは、行政などがもつ多様な空間データとAIを用いた高精度な災害危険知抽出技術の開発と林道等の山地インフラ情報の共有・活用体制の構築で、新たな民間ビジネスを創出するとともに、山地防災力を向上させることを目標としました。

この目標を基に、AIを使って地形データから過去の崩壊跡地や崩れやすい斜面を抽出したり、林道の路網を抽出したりする取り組みが行われました。このうち林道の路網抽出は、林業インフラとして重要なだけでなく、災害時に迂回路としても使える林道を、容易に可視化する試みです。従来、林道は地形図で網羅しきれていないほか、森林管理者が持つ地図は更新に時間と労力がかかる課題があり、ベクタ路網データの自動抽出技術が求められました。

ベクタ化された路網データ

画像引用元

- 令和2年7月豪雨による水害:国土地理院ウェブサイト(https://www.gsi.go.jp/BOUSAI/R2_kyusyu_heavyrain_jul.html)

- 令和2年7月豪雨による土砂災害:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/river/sabo/jirei/r2dosha/r2_07gouu.html)

Deep Learningによる路網抽出

DeepLearning(深層学習)では画像内オブジェクト検出の研究が盛んなため、画像からの路網検出ができないかどうか検証を行い、ベクタ化された路網データによる自動経路探索の実現を目指しました。

一般オブジェクト検出

一般オブジェクト検出

衛星画像からの道路抽出

衛星画像からの道路抽出

画像引用元

- 一般オブジェクト検出:GitHub - matterport/Mask_RCNN:Mask R-CNN for object detection and instance segmentation on Keras and TensorFlow(https://github.com/matterport/Mask_RCNN)

- 衛星画像からの道路抽出:GitHub - CosmiQ/basiss: Broad Area Satellite Imagery Semantic Segmentation(https://github.com/CosmiQ/basiss)

AIによる路網抽出技術について

1. AIによる路網抽出技術とは

最新の林道の路網を容易に自動抽出するカギとなったのは、岐阜県が林道を一本一本走行し、デジタル化した森林路網の地図データでした。路網抽出には、この高精度な路網データと、標高・傾斜・曲率の3つのデータを色分けして表した地図「CS立体図」の2つを使いました。AIが、実走の路網データとCS立体図を照らし合わせながら、林道を見分ける基準を学習し、林道だけを抽出できるようにするのです。

2. AI×路網抽出技術 の実力

岐阜県のCS立体図と路網データを使い、AIに路網を抽出させた画像がこちらです。抽出した路網は緑色の線、点線が実際の路網です。ご覧のように、非常に高精度に抽出できています。

入力画像(岐阜県)

入力画像(岐阜県)

出力結果(緑:抽出結果 点線:正解データ)

出力結果(岐阜県)

学習によって、岐阜県の林道を見分けられるようになったAIに、長野、福岡のCS立体図を読み込ませてみると、高精度で抽出できました。「岐阜基準」の学習データは、全国各地の地形を読み込ませても応用できると分かったのです。

入力画像(長野県)

入力画像(長野県)

出力結果(ピンク:抽出結果 点線:正解データ)

出力結果(長野県)

プロジェクトの成果発表の際には、林道の路網抽出を担当する行政担当者から「これまでは3年かかっていた作業」「人がやるより正確」との声が寄せられ、管理業務の効率化に期待が高まっています。

3. 路網抽出技術の展開

林道の路網は、大学も注目しています。本プロジェクトにも参加されていた齋藤仁志先生が所属する岩手大学農学部の森林生産工学研究室では、災害時の迂回路としての林道の機能性を検証する研究が行われてきました。今後、林道網が容易に抽出できることによって、林道の可能性を探る研究も行いやすくなると予想されます。

プロジェクトでは、学習データを基に、CS立体図のような航空レーザー測量によって作成された地形データから路網を抽出するという新たなビジネスも創出しました。行政の時間と労力をかけていた抽出作業は、民間に委託する形に変わっていくと期待できます。

行政が持つ高精度な地理データを、ノウハウを持つ民間企業が活用して加工・抽出。データは、大学での研究の場にも活用されています。産学官の連携によって生み出された成果は今後、森林計画や災害の応急対策に大きく貢献していくことでしょう。

4. 終わりに

本研究は農林水産省委託プロジェクト研究「農林水産分野における気候変動対応のための研究開発」、ならびに内閣府官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の支援を受けたものです。

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